赤い提灯が多いのはなぜ?
居酒屋・ラーメン屋などの飲食店をはじめ、お祭りや寺社仏閣でも目にする赤い提灯。業種を問わず、なぜ赤色は提灯の色として人気があるのかを考察してみようと思います。
赤色提灯の歴史
まずは赤色提灯の歴史について確認していこうと思います。
提灯の歴史については諸説ありますが、平安時代から室町時代頃に中国より伝わった「折りたためない円形状の竹かごのようなものに和紙を張り付けた簡素なもの」が原型で、その後、室町末期には日本独自の技術により、現在の私たちが認識している折りたためる提灯が制作され、祭礼や戦場などで広く使用されるようになったという説が濃厚と言われています。
その後、江戸時代中頃になるとロウソクが大量生産可能になり、価格も下がったことで、庶民の間にも普及し、飲食店や水茶屋などがお客さんを呼び込むために提灯を掲げるようになります。
これくらいの時期に赤色提灯も世間に浸透していったと言われています。しかし、赤色提灯が世間に広まった切っ掛けについては、以下のように複数の説が存在しており真相は藪の中です。
■赤色提灯が普及した切っ掛け
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- 提灯の色を赤くしたら商売が繁盛した説
- 江戸時代中頃になると、提灯は商店の看板のような役割も果たすようになり、当初は白い提灯に黒い文字が描かれた商品が一般的でした。そんな中、ある1軒の売り上げがなかなか伸びない商店が、お店の存在をアピールするために、提灯を赤く塗って店頭に出したところ、客足が伸びて大繁盛したことにより、商売繁盛の象徴として赤色提灯が広く使われるようになった。
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- 縁起の良い色であり魔除けの象徴としても人気が高かった説
- 赤は慶事や喜びを象徴する縁起の良い色であり、元々は神社などで魔除けの象徴として使われていた赤色提灯。江戸時代中頃に飲食店や水茶屋などで集客用に使用されるようになってからも、前述の理由から赤色を選択する商店が多く、広く浸透していった。
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- 火事になっても燃えにくい説
- 「火事と喧嘩は江戸の華」と言われるくらい火事が多かった江戸の町。 紙製の提灯は燃えやすいですが、赤い提灯は火事に強いという利点もありました。赤い提灯は漆を塗って作られた燃えにくいものも多く存在していたため、庶民に広く親しまれるようになりました。
そして、2024年現在のような形態のいわゆる「赤提灯」と呼ばれる飲み屋さんや屋台に欠かせないアイテムとして定着し始めるのは、 高度経済成長期にあたる1965年頃の闇市にルーツを持つと言われている新宿駅西口の「思い出横丁」周辺の飲み屋さんが発祥とされています。
参考ページ:提灯の歴史と由来
赤色提灯がもたらす効果
赤は目立つ
赤は遠くからでもとても目立ち、人目を引きます。沢山の商店が並ぶ繁華街でも、お店の存在をアピールすることができます。
赤は人の行動を促進する
交感神経に刺激を与えて体温、血圧、脈を上げる効果があると言われている赤は、人の行動の促進に有効な色とされています。
赤は食欲を刺激する
赤は食欲を刺激する色としても有名です。赤のような鮮やかで明るい色を見ると、血圧や脈拍数が上昇し、体温も上昇して食欲増進につながると言われています。特に赤と緑の組み合わせは食欲増進に最も効果的とされています。実際に街でよく見かける有名な飲食チェーン店の看板やロゴなどにも赤と緑は頻繁に使われています。
酔うと赤い色に引き寄せられる
夜間に照明に群がる虫のように、人間は酔っぱらうと赤色に引き寄せられるという習性があると言われています。
酔っぱらって顔が赤くなっても目立たない
酔っぱらって顔が赤くなっても、赤い光で照らされた空間の中では目立ちにくいので、赤ら顔を気にせずにお酒を楽しく飲むことができます。
街でよく見る赤い提灯
居酒屋
居酒屋:赤色提灯といえば居酒屋・飲み屋さんを連想される方は多いのではないでしょうか。仕事帰りの一杯は本当にウマイ!
ラーメン
ラーメン屋:一杯飲んだ後に、この提灯を目にしてしまうと自然と引き寄せられてしまう方も多いのではないでしょうか。締めのラーメンは最高です!
おでん
おでん屋:寒い季節の帰り道にこの提灯を見かけると、気持ちが暖かくなって、気が付くとお店に足が向かってしまいますね。屋台のおでんもクセになる!
たこ焼き
たこ焼き屋:大阪ご出身の方はもちろん、たこ焼きが大好物という方も多いと思います。大阪だけではなく、日本を代表するソウルフードと言っても過言ではありません!
占い
占いサロン:占いサロンとも提灯は相性抜群近い将来のことから、遠い将来のことまで、占ってもらうことで現在の自分を見つめ直せば、前向きな未来への一歩を踏み出せるはずです!
お祭り
お祭りの装飾:赤い提灯は、お祭りの装飾にも欠かせません。お祭りの会場を華やかに彩り、活気づけてくれます。
寺社仏閣
寺社仏閣:赤色提灯は神社やお寺とも相性ピッタリです。規模を問わず大小様々な寺社仏閣で赤色提灯は使用されています。
まとめ
赤色提灯は日本の食文化や下町情緒を象徴するものとして、国内外を問わず多くの人に親しまれています。
先代から引き継いだ、伝統の良き日本文化のひとつとして大切に育み、後世へと伝えていくことが我々の使命なのかもしれません。